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境界標を盲信すべからず

土地の売買をする時いちばん大事なことは物件の範囲を明らかにすることです。

「この土地を売る」「○○番の土地を買う」とひと言で言いますが、島をまるごと買うような場合ではない限り、必ず隣接する土地とは地続きになっていて、引っ剥がして切り離せるものではありませんから、”ここからここまで”と範囲を決めなくてはなりません。

土地の境界は「線」であると思われることもあるのですが、実際はいくつかの「点」が基準となり、その点を結んだ直線が境界ということになります。
その「点」の位置を明らかにするのが測量で、長さや角度を測ることによって「点」の位置を割り出しています。
とはいえ、測量は非常に手間暇がかかり費用もかかるもの。点の位置が知りたいと思う度に測量をするわけにも行きませんから、
測量の作業で割り出した点の位置が分かるように杭や標識を設置したり、擁壁のコンクリートなどに切れ込みを入れたりすることがあります。

境界標のイメージ
境界標のイメージ

境界にある標識は非常に重要なもので、勝手に動かしたりするとトラブルの原因にもなりかねません。
また、壊したりすれば、設置し直すことになり、また費用をかけて測量することになります。

一方で、境界標を利用する時も気をつけなければなりません。
人為的に動かされたり、また、地盤が動いたり、構造物が歪んだりして境界標が正確でないこともあります。
道路工事や、敷地の外構工事を行う場合、施工の場所が境界付近となると境界標を壊したり撤去することを余儀なくされます。
中には気を利かせて標識を復元して下さるケースもあるようですが、「このへんだったかな?」と勘で設置されてしまうと、それが誤った位置になってしまうことがあり、ひどい時はそれが数十センチずれた場所になることもあるようです。
こうした境界標を設置するのは「土地家屋調査士」という国家資格を持った専門家のお仕事ですので、資格のない人が適当にやると後々トラブルの原因にもなります。
日常生活では土地の境界はそれほど問題になることはありませんが、土地の取引をしたり、境界の近くで何かをやる場合にはまず境界を明確にする必要があります。
不動産の取引に関わる立場のものとしても、境界標があるからと言って盲信せず、現地で資料と突合したり、専門家に確認することを心がけなければなりません。

実際に考えられるケースとしては、境界にブロック塀を設置したり、コンクリートを打ったりという場合には、注意が必要です。
測量して境界標を設置したあとにブロック塀や境界壁を設置すると、折角入れた境界標を撤去することになってしまうことも考えられます。
ですから、測量と外構工事を行う予定がある場合には、測量をする方と工事をする方の調整を取って、工事の終了後に境界標を設置する段取りにしたほうが、長い目で見て無駄が少なくて良いと思います。

是非ご参考になさって下さい。

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