■日本経済新聞の記事
昨日の日本経済新聞夕刊で「土地、一部所有者で売却可能に 所有者不明地で対策」と報じられました。
土地、一部所有者で売却可能に 所有者不明地で対策 :日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52281220X11C19A1SHA000/
記事では情報の出所がハッキリしないため、なぜこのような記事が出てきたのか調べてみました。
■Sankeibizの記事
「所有者不明土地」で検索したところ、Sankeibizでも関係の記事が掲載されていました。 所有者不明土地、増加抑制へ対策 国交省が骨子案提示 https://www.sankeibiz.jp/macro/news/191119/mca1911190500006-n1.htm
記事中で 「新たな総合的土地政策」の策定に向けた中間取りまとめ(骨子案)を国土審議会土地政策分科会の企画部会に提示した と記載されているので、日本経済新聞の記事の内容も 国土審議会土地政策分科会の企画部会 で発表されたものだろうと推測できます。
■国土審議会土地政策分科会企画部会
国土審議会土地政策分科会企画部会 の会議の内容は国土交通省がWebサイトで公開しています。http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/s103_kikaku01.html この記事を記載している時点では、残念ながら11月18日(月)の第35回企画部会についてはまだ掲載されていなませんでした。
■共有地の売却が一部所有者でも可能になるのであれば大きな変化
「新たな総合的土地政策」の策定に向けた中間取りまとめ(骨子案)は最終的に年内にとりまとめられる模様であり具体的にどのような制度になるかはまだ不明ですが、現在報じられている内容から見ても大きな変化になりそうです。 例えば、共有地の売却は現在は民法で全員の同意がなければできないとされていますが、金銭を法務局に供託するなど一定の条件の下で全員の同意がなくても共有関係が解消できる点は大きな変化です。全員の同意が得られないことから手のつけようがない共有地は意外に多く、共有地の悲劇などと言われます。また、所有者がもともと一人であっても相続人が複数いるような場合は相続によって共有ができあがってしまい、場合によってはさらに二次相続、三次相続で権利者がふくれあがってしまう事例もあります。
ただ、共有関係解消の手続きは一般の人には難しいと考えられ、一連の手続きの代理を依頼するにも弁護士など少数の限られた専門家にしか依頼できないとなると、思ったほどハードルが下がらない可能性もあります。
■土地の管理にはコストがかかる
土地は上手く利用すれば収益を生み出す優良な資産になりますが、その分手間暇やコストがかかるものです。今は問題になっていないからといって曖昧になっているものを放置しておくと長い間に当事者が変わってしまい、当初の状況が分からなくなったりして後々のコストは大きなものになることもあります。コストだけでなくトラブルになれば人間関係も絡んで精神的にもダメージがあるものです。 「土地所有者の責務」が協調されるようになる見通しですが、目先のコスト重視偏重の姿勢が改まるような行政による強権行使がない限り、土地問題の解決は難しいのではないかと思われます。