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山林に侵食される空き家

平成31年4月に総務省統計局が発表した「平成30年住宅・土地統計調査」によれば、全国空き家率は13.6%と過去最高になったとのこと。つまり7件に1件は空き家という状態なのです。
空き家は「居住世帯のない住宅」で約半数は入居書のいない賃貸住宅で、他にも売りに出されている住宅や使われていない別荘もあります。しかし、それ以外の空き家も全体の約4割を占めています。

最近は使われていない空き家の調査や内覧を行うケースが増えてきました。

使われていない建物の場合、人が住んでいる建物に比べて状態は悪くなります。
中でも、山の裾や林の近くなどにある建物は損傷が大きいものが多いように思います。

人の手が入らなくなって荒れているのは空き家だけでなく、農地では耕作放棄地があります。特に状況が深刻なのが山林で、荒廃した山林は至る所にあります。
中山間地はもとより、市街地でも山裾の住宅などはこうした山林と隣り合わせの位置にあるものがよく見られます。

荒廃した山林で特に猛威を振るっているのが竹です。ご存じの通り、竹は地下茎を伸ばして猛烈な勢いで増殖します。ですから、放っておけば竹林となり、どんどん広がってしまい、隣接する建物も飲み込まれてしまいます。
実際に竹の子の大きくなったもの(もはやタケノコとは言わないのかも知れない)が、床を突き破り天井にまで達している光景を目にしたこともありました。

先日、山裾にある民家を見学したのですが、状態は良好でした。その前に同じ団体で見に行った民家は山林に飲み込まれかけていて一部が損傷した状態だったとは対照的でした。
メンバーでどうして?と話し合ったのですが、状態の良かった民家は建物と山林の間に使われている林道があり、手入れがされていたのですが、山林に飲み込まれてしまった建物は裏手がすぐに山林という位置関係でした。ですので、このあたりが、状態の違いに影響したのではないかと推測しました。

ただし、住宅を脅かすのは竹林だけではありません。
最近ニュースでもよく見かける野生動物の被害も深刻です。こちらは、山林から少し離れていてもやってきますし、空き家だけでなく、人が住んでいる家にもお構いなしに入ってきます。
野良猫の姿がほとんどなくなったので、「虐待されたのでは?」という噂がたったものの、実はアライグマが襲っていたという事件も起こっているそうです。

アライグマやハクビシンは屋根裏で糞を貯める習性があり、気づかずにいると天井が落下したり、空き家の調査をした際、室内の座布団やベッドの上に堆く糞が積み上げられていたのを見たことがあります。施錠をしてあっても割れた窓ガラスや軒先など小さな隙間からも侵入しますから厄介な侵入者です。それだけでなく、人間が襲われることすらありますから、直接の危険すらあります。

空き家の場合、住宅のみならず場合によっては周囲の環境の整備までしないと維持・保全ができないケースもあります。こうした問題の解決に働いても労働に対する対価を得ることは難しいため、もはや我々のような不動産流通で関わる人間には手に負えず、地域社会との協働も必要になってきます。
むしろ今後は従来型のビジネスモデルでは解決ができない不動産の諸問題が増えてくるのではと考えています。

 

 

 

 

 


 

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