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不動産の地域性

不動産は文字通り動かない資産です。
民法では不動産を土地とその定着物と定義していますが、不動産登記法で登記ができる建物として要件が定められていることから、定着物すべてが不動産というわけではなく、土地と建物が不動産とすることが一般的です。

動かないということは位置関係が固定されているということなので、隣り合うものもずっと同じ場所にあるということになります。つまり、隣り合うもの同士は少なからず影響を受け合うことになります。
また、位置関係が固定されているということは、隣り合うもの同士の環境は似通ったものになります。
こうしたことから、不動産は他の不動産と共に地域性を形成することが特徴であるといえます。

高級住宅街や文教地区と言われるような地域、あるいは都市の中で街並みが揃って美しい地域などがあり、そのエリアは不動産の価値が高くなるのはご存じの方も多いかと思います。
従って、その地域の土地の所有者が団結して地域作りに臨めばエリアの価値は高まると考えられるのですが、実際のところはそうした流れを作り出すことは非常に難しいのが現状です。
地域といってもある程度のまとまりが必要で、そうなるとそこに関係してくる権利者の数も多数になります。多数になればなるほどいろいろな考え方の人がいて、その地域の人すべての合意を得ることは大変難しくなります。勿論地域の人の多様性があることはメリットもあるのですが、ひとつの方向に向かって一丸となって取り組むことはそこに関わる人が多ければ多いほど難しくなり、デメリットにもなります。

人口減少社会の中で、中長期的に不動産の価値は下がっていく傾向になると考えられます。
不動産は基本的に動かない資産で需要の変化に応じて供給を増やせるものではありませんから、人口減→需要減となれば、相対的に供給の方が大きくなり、希少性が乏しくなっていくことから価値も下落します。

日頃の業務でも、個々の不動産の価値のみならず、エリアの不動産の価値を維持するにはどうしたらよいだろうかと考えることが多々ありますが、現実にはなかなか厳しいものがあります。個々の不動産の利益追求も否定されるものではありませんが、エリア全体が衰退してしまえば結局は個々の不動産の価値にもマイナスのインパクトになってしまいます。

出来るだけ多くの人にエリアの価値の重要性について知って欲しいと願うところです。

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